「無限の住人」撮影で三池崇史監督、リアル木村拓哉が「いる」ことを楽しむ

沙村広明原作の実写映画「無限の住人」の撮影が、京都府内にて行われた。コミックナタリーではその模様と、三池崇史監督のコメントをお届けする。

1993年から2012年まで月刊アフタヌーン(講談社)にて連載された「無限の住人」は、両親を殺害した剣客集団への復讐を誓う少女・凜と、不死の肉体を持つ凜の用心棒・万次の仇討ちを描くネオ時代劇。木村拓哉が万次役、杉咲花が凜役を務める映画版は、2015年11月から今年1月初旬にかけてオール京都ロケで撮影された。

撮影開始からおよそ2カ月が過ぎた1月某日。朽ち果てた宿場町が再現された京都の山間にて、撮影はクライマックスに差し掛かっていた。殺戮シーンの撮影を終えた現場には、これまで使用された大量の血糊の跡が。あらゆる場所が赤く染められている中、三池は劇中における血の描写について「忌まわしいものって捉えられがちだけど、生きている証とも言える。皆さん数日前までは生きてましたので、(血糊も)そのエネルギーの分だけあります」と話す。また殺生を伴う本作の世界については、「ルールに則って仲良く平和で生きていくために生まれてくるストレス。それを発散できるっていうのが、自分にとっての時代劇の面白さ」と分析する。

大勢の死体が転がる中でたたずむ木村は、独眼の万次を演じるにあたり、特殊メイクで右目を塞ぎ撮影に臨んだ。日本を代表するスターとして芸能界で生きてきた彼が不老不死の侍を演じることに対し、三池は「非常に運命的な役」だと話す。また「(木村と)まったく違うところで生まれ育った作家(沙村)が作り上げたキャラクターだけど、リンクすることがあるんだなと。そういうものと出会っていく強さは必要ですよね」とも。さらに「(木村は)日本で唯一、スーパースターって言える人物。万次は闇の世界に生きている奴だけど、きっとジャニーズに入ってたらいい線いったんじゃないかな?」と続けると、木村から「たぶんクビになりますよ(笑)」とツッコミが入った。

また三池は「皆さんも感じてると思うでしょうけど、(木村は)住む世界が違う人でしょ。『いるよ!』って(笑)。毎朝、当然現場に来ますよね。『来たよ! 暴れてるよ! 昼飯食ってるよ!』って。非日常的な物語を作ってる分、リアルな木村拓也という人物を逆に感じることができる」と撮影をすっかり楽しんでいる様子。そして「そういう人間と一緒に物を作っていけるから、“ただごと”で終わると申し訳ないなって」と意気込んだ。

「無限の住人」は、2017年4月29日より全国ロードショー。

(c)沙村広明/講談社 (c)2017映画「無限の住人」製作委員会

(2016/11/30 08:00)

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