映画「無限の住人」木村拓哉が「過酷な現場で監督が足を折った」と明かす

沙村広明原作による実写映画「無限の住人」の完成報告記者会見が、本日2月15日にザ・リッツ・カールトン東京にて行われ、万次役の木村拓哉、凜役の杉咲花、天津影久役の福士蒼汰、尸良役の市原隼人、乙橘槇絵役の戸田恵梨香、三池崇史監督が登壇した。

木村は「こうやって、三池組の一員として皆さんの前に登壇することができてうれしく思います。もう少しで皆さんに手渡せると思いますので、ぜひ受け取ってください」と挨拶。また初タッグを組んだ三池監督の現場について「三池組で撮影していると、モチベーションの高さが海外の現場に参加している錯覚に陥る」と語り、「監督をはじめスタッフの皆さんのやる気と情熱、絶対に面白いものを作るというワンカットワンカットの積み重ね。そこに立ち会えたのはうれしかったです」と喜びを口にした。

また全て自らが演じたというアクションシーンを「監督の発想、発案にどこまで近づけるかという試みは楽しかった」と振り返り、「ただあまりに過酷で、監督が足を折ったりといろいろありました」と茶目っ気たっぷりに答える。三池監督は「俺の足が折れたのは老化現象(笑)」と苦笑いするも、「過酷っていうのは、『ボキッ』『お、これは折れたな』となった後、『今日はあと何カットある?』『2カットです』『じゃあ病院はその後で』となったときかな。次の朝も6時に集合」とハードな撮影現場の様子を披露した。木村も「そういうときは椅子に座ったりと負担をかけないのが常なんですけど、三池さんはザ・ローリング・ストーンズのステッカーをいっぱい貼った松葉杖を持って、常に現場にいてくれた」と信頼のまなざし。さらにごった返す撮影現場で移動をスムーズにするため、松葉杖に自転車のベルを付けて鳴らしていたエピソードを明かし、笑いを誘った。

福士は今作で演じた天津影久役が初の悪役。役作りで苦労したことを問われると、「作品のポジション的には悪として語られていくんですけど、天津影久を主人公としてみたとき、僕は悪だと思っていなくて。ほかの人から見ると悪になり得るかもしれないけど、天津にとっての善がある。悪を演じようとはせずに、自分にとっての善を極めていきました」と話した。また尸良役の市原は「一匹狼でありながらハイエナのような、残虐な人間なんです。そして快楽に走る男。本当にすごい役で、どうアプローチしていいか悩んだんですけど。ハイエナって、生きたまま動物を捕食するときがあるんですね、そういう映像を毎日観ながら、ほかにもここでは言えないような映像を、『これが自分の全てなんだ、ここに快楽を求める人間なんだ』と思いながら観ました」と独自の役作りに言及。「尸良のシーンの中でカットされているところがいくつかあるんですけど、スクリーンの中でも生きられなかったくらい残虐なシーンがあって。そこは悔しいんですけど、そこも含めて楽しんでいただければ」と胸中を明かした。

アクションシーンについて質問された戸田は「私は動物の映像は観なかったんですけど」と市原をからかいつつ、「普通の時代劇が全く参考にならない。回して使う武器をどう使いこなすかの練習はすごく難しかったですし、いろんなことが勉強になりました」と感想を述べる。続けて木村は印象に残っていることを聞かれ、「杉咲さんに関しては、撮影中終始ご一緒させていただいて。どんな状況でも120%の力で臨んでいた。彼女に対して全力で応えたいという思いを持たせてくれました」と杉咲を褒め称えた。

続けて市原について「ちょっと独特なアプローチを教えてくれた隼人に関しても、こういう表現者が自分の周りにいて、今回の作品で一緒になれたんだなというくらい、いい意味でくそ真面目に本気で取り組んでくれてる人が目の前にいるんだということを常に感じさせてくれた。『無限の住人』の撮影が終わって、それぞれがそれぞれの場所に散っていくんですけど、散っていった先で彼が表現しているものについてつい興味がいってしまって。LINE交換させてもらって、車椅子バスケ(のドラマ)やるんだとか、湊かなえさんの原作(のドラマ)をやるんだとか、こんなCMやってんだとか、うれしくてLINEを送ってたんですけど、一切既読がつかなくて」と衝撃の告白。続けて「さっきお話を伺ったら、交換したケータイをぐちゃぐちゃにしてしまったらしく、新機種に変わってました。さっき、ちゃんと無事にLINE交換しました」とにこやかに微笑むと、市原は「すみません!」と平謝りした。

そして市原は「僕からも言っていいですか」と断り、木村への印象を語り始める。「こんな座長初めてでした。木村拓哉って人間は、自分のことよりも周りのことを気にかけている男で、本当に素晴らしいんです。カメラマンが疲れて首が回らなくなったときもマッサージしてあげたり。自分のことよりも周りの立場に立って考えていける。こういう男になりたいと思わせていただけた」と真剣な面持ちを見せた。

最後の挨拶で木村は「席に着く前にしっかりとお手洗いにいって、心地よく最後まで、エンドロールが終わるまで。この映画に関わってくれたスタッフの名前がスクリーンに表記されます。全てを受け取ってから、劇場を後にしてほしいと思います」と願いを口にし、イベントは幕を閉じた。

(c)沙村広明/講談社 (c)2017映画「無限の住人」製作委員会

(2017/2/15 19:38)

関連作品